2016年の電力自由化以降、日本全国どこでも好きな電力会社に切り替えができるようになりました。
その中でも、東京エリアは電力会社同士の価格競争が盛んに行われています。
本記事ではポイント還元を行わない直接割引にこだわる「エルピオでんき」と国内最大の東京電力エナジーパートナーの比較をしてみました。
分かりやすい料金値引きで主に30代~50代のユーザーに強い支持を受けるエルピオでんきですが、実際のところ安くなるのでしょうか?
結論、現段階で電力会社が東京電力エナジーパートナーの方は「とりあえず」エルピオでんきに切り替えることを強くお勧めします。理由はリスクとなるものがほとんどないから。
また、電力会社切り替えが初めての方は、電力自由化の失敗事例もまとめた記事を1度読んでみてください。
失敗例から学ぶ│電力自由化で気を付けるべきこと(当サイトの別記事リンク)
目次
東京電力エナジーパートナーについて
もはや日本全国民が知る東京電力ですが、2015年の分社化以降、小売会社は「東京電力エナジーパートナー」に名称が変わっています。
参考 ホールディングカンパニー制への移行について東京電力グループサイト東京電力グループは自由化以降も依然としてトップを走り続けていますが、実は料金面だけではあまり大きな割引がありません。
電力会社としての安心感重視の方にはうってつけですが、実際の電気料金で追及するとしたら、東京電力を使い続けるのは得策とは言えないかもしれません。
その理由と”ではどうすればいいのか?”は後述していきます。
電力会社を切り替えをしていない方は、大半が従量電灯Bというプランを利用中です。
また、東京電力の2016年以降「スタンダードプラン」や「プレミアムプラン」という新プランを発表しましたが、実は「スタンダードプラン」と「従量電灯B」とでは料金単価は変わりません。
種類 | プラン名 | 他社切り替えのオススメ度 |
---|---|---|
従量電灯 | 従量電灯B・C | ◎ |
スタンダードプランS・L | ◎ | |
プレミアムプランS・L | ▲ | |
季時別電灯 | スマートライフプラン | ▲ |
夜トクプラン | × | |
深夜電力 | × | |
電化上手 | × | |
ピークシフトプラン | × | |
低圧電力 | 低圧電力 | ◎ |
【▲】・・・条件により損する可能性あり
【 × 】・・・2021年現在では切り替えない方が吉
- 電気契約の解約による解約金は原則0円
- プレミアムプランS/Lは、途中解約すると~5,000円の違約金が発生
- 時間帯別プランが充実しどんなニーズにも応えることができる
- 従量電灯B、スタンダードプランの料金水準は高い(自由化前の水準のまま)
東京電力エナジーパートナーの解約に違約金は発生しませんが、”プレミアムプラン”など一部のプランでは期中解約金が発生します。(※オススメ度【▲】の理由)
一方で、従量電灯、スタンダードプランには違約金はなく、再契約も可能と特別デメリットは存在しません。
時間帯別プランを利用中の場合は”夜間に多くの電力消費をする”という生活リズムを考慮されたプランなので、むやみに切り替えると「逆に割高に」なるケースもあります。
エルピオでんきについて
エルピオでんきは千葉県市川市に本社を置く総合エネルギー会社です。会社名は「株式会社エルピオ」と最近社名変更されました。
※詳細は株式会社エルピオ 会社概要から
電力自由化以降、電気の契約者数は9万件を超え”無名”の新電力としては異例のスピードで契約者数を伸ばしています。
エルピオでんきの最大の特徴は「分かりやすい格安料金」です。その証拠にポイント還元は一切行っていない分、東京電力EPからの値引き率は地域トップクラスです。
エルピオでんきの主要な料金プラン(家庭用のみ)は以下の通りです。
東京電力の対応プラン | エルピオでんきのプラン | 人気度 |
---|---|---|
従量電灯、スタンダードプラン | スタンダードライト30A | 〇(使用量120kWh未満は×) |
スタンダードS(40~60A) | ◎ | |
プレミアムプランS | プレミアムプランA | 〇 |
スタンダードプラン、夜トクプラン | 深夜お得プラン | ▲(割引時間帯による) |
低圧電力 | 低圧電力プランL | 〇 |
家庭用プランはいずれも東京電力エナジーパートナーの対応プランより安い単価設定のため、多くのケースでメリットが出ます。
スタンダードライトプラン30Aは使用量が120kWh~を超える方は必ずメリットが出る設定、スタンダードプランSは基本料金・電力量料金のいずれも5%~16%と割安な料金設定になっています。
また、どのプランにも解約違約金や契約期間の縛りもないため、試し使いにも最適です。
深夜帯のプランも存在しますが、東京電力エナジーパートナーとは割引時間帯が異なるため比較が困難です。逆に損をするケースもあるため無理して切り替えない方が吉です。
- 全プランの解約金はゼロ+契約期間の縛りナシ
- 使用量120kWh~は必ずメリットが出る料金設定
- 電気契約で駆けつけサービスが付帯(無料)
- 30A以上のプランしか用意が無い(20A以下は利用不可)
- 深夜割引プランはあまりオススメできない
エルピオでんきの全ての料金プランには解約金が無く、契約期間の縛りがありません。割引料金でありながら試し使いも可能。
また、エルピオでんきの契約により駆けつけサービスが付帯するため、戸建て・集合を問わず電気設備トラブルの出張費が無料となります。
※無料範囲⇒およそ60分以内の作業費・出張費
もちろん駆けつけサービス自体のサービス料は無料、月額費用などはありません。
- 停電した、電気が点かない⇒出張して設備点検
- コンセントが焦げ臭い⇒出張して応急対応
- 分電盤のトラブルが発生⇒出張して応急対応
東京電力とエルピオでんきの比較
それぞれの電気料金プラン、特徴や注意点をまとめてきました。次は実際の料金差を確認してみましょう。
基本的には全ての比較結果が「エルピオでんきが安い」となっていますが、特に料金の差額に注目してみてください。
まずは契約アンペア数ごとの料金単価の比較です。ご自分の契約アンペアを開いて確認してみてください。
料金項目 | 東京電力 | エルピオでんき | 割引率 | |
---|---|---|---|---|
基本料金 | 20A | 572.00円 | ※提供なし | ― |
30A | 858.00円 | 858.00円 | ― | |
電力量料金(kWh) | ~120 | 19.88円 | 21.14円 | ― |
121~300 | 26.46円 | 23.03円 | 13.0% | |
301~ | 30.57円 | 25.78円 | 15.7% |
- 東京電力:従量電灯B、スタンダードプランS
- エルピオでんき:スタンダードライト30A
- 割引箇所:電力量121kWh以上(第2・第3段階料金)
料金項目 | 東京電力 | エルピオでんき | 割引率 | |
---|---|---|---|---|
基本料金 | 40A | 1,144.00円 | 1,086.80円 | 5.0% |
50A | 1,430.00円 | 1,344,20円 | 6.0% | |
電力量料金(kWh) | ~120 | 19.88円 | 18.84円 | 5.2% |
121~300 | 26.46円 | 23.03円 | 13.0% | |
301~ | 30.57円 | 25.78円 | 15.7% |
- 東京電力:従量電灯B、スタンダードプランS
- エルピオでんき:スタンダードプランS(60A)
- 割引箇所:すべての料金項目
料金項目 | 東京電力 | エルピオでんき | 割引率 | |
---|---|---|---|---|
基本料金 | 60A | 1,716.00円 | 1,613.04円 | 6.0% |
電力量料金(kWh) | ~120 | 19.88円 | 18.65円 | 6.2% |
121~300 | 26.46円 | 23.03円 | 13.0% | |
301~ | 30.57円 | 25.78円 | 15.7% |
- 東京電力:従量電灯B、スタンダードプランS
- エルピオでんき:スタンダードプランS(60A)
- 割引箇所:すべての料金項目
次に平均使用量別の料金メリット想定額(年間)を一覧にしてみました。
このシミュレーション結果はエルピオでんき:料金シミュレーションの結果をもとにしています。
月間平均使用量 | 【東京電力】年間電気代 | 【エルピオでんき】年間電気代 | メリット想定額 |
---|---|---|---|
150kWh | 48,503 | 49,069 | 566 |
200kWh | 64,338 | 62,841 | -1,497 |
250kWh | 80,200 | 76,636 | -3,564 |
300kWh | 100,301 | 90,449 | -9,852 |
350kWh | 117,989 | 105,460 | -12,529 |
400kWh | 139,631 | 123,909 | -15,722 |
450kWh | 158,188 | 139,558 | -18,630 |
500kWh | 176,530 | 155,026 | -21,504 |
600kWh | 216,462 | 189,032 | -27,430 |
単位:円
いかがでしょうか。150kWh(目安:1人暮らし)では割高ですが、それ以外は全てエルピオでんきの方が安い結果になっています。
第2・第3段階料金の割引率が高い設定のため「使用量が多いほどメリットが出やすい」という傾向もつかめます。
シミュレーション結果をまとめます。
- 1人暮らし世帯では切り替えはオススメできない
- 2人暮らし以上の場合年間でメリットが十分期待できる
- 月平均300kWh以上⇒年間メリットが約1万円以上
あくまで平均使用量と基にした結果のため、あなたの家専用の結果が分かる電気料金シミュレーションも是非やってみてください。
検針票がある方は検針票を、無い方は今使っている会社のマイページなどへログインして「電気使用量と契約アンペア数」を入力すれば1分で結果が確認できます。
エルピオでんき利用までの手順
最後に、東京電力エナジーパートナーからエルピオでんきへの切り替え手順と、スムーズに切り替えるための注意点を解説します。
手続きを誤ると2ヵ月も3ヵ月も待つことになるため、一通り読んでいただくことを強くオススメします。
まずは切り替えまでの所要時間の目安です。
- 電力会社切り替えの場合⇒2週間~1ヵ月程度
- 引っ越し先での契約の場合⇒申し込み日から最短14日後~
※引っ越しと同時契約の方はSTEP1は省略
検針票(電気料金等のお知らせ)や、現在の契約内容がわかるものを準備します。
申し込みフォームへの入力には下記の情報が必要になります。
- メールアドレス
- 現在の契約会社名
- 現在ご利用の契約プラン
- ご契約容量(単位:アンペア、キロボルトアンペア)
- 電力の供給地点特定番号(数字22ケタ)
- 現契約先のお客さま番号、または契約番号
STEP2で申し込みが完了したら、入力メールアドレス宛に自動返信メールが届きます。
支払い方法をクレジットカードにした方は、メールに記載されているクレジットカード登録用URLをクリック⇒本登録までを完了すれば手続きは終わりです。
支払い方法を口座振替にした方は、登録住所に登録用紙が郵送されてきます。届き次第また郵送で返送する形になりますので、WEB上での手続きはこれで終わりです。
この後はエルピオでんきと送配電事業者側の作業となりますので、全てが完了するまで待ちます。
ご自宅(新居)の電気メーターが旧型のアナログメーターの場合、デジタル式の「スマートメーター」への交換工事が行われます。
ただし、工事はエルピオでんきではなく地域の送電会社が行い、費用・工事立ち合いは原則必要ありません。
また、最初からスマートメーターが設置されている場合はSTEP4は省略されますので切り替えまでの所要時間は1週間~2週間ほど短くなります。
※メーター設置場所により稀に立ち合いが必要な場合があります
電力会社の切り替え(スイッチング)は、電気の供給場所ごとに定められている検針日を基準にして行われます。
検針日は、現在の電力会社の検針票・WEBマイページなどで確認することができます。
申し込み⇒供給開始までの流れは上記の通りです。
しかし、中にはスムーズに電力会社切り替えができない「スイッチングエラー」という現象が発生することもあり、一度スイッチングエラーが発生すると、切り替えまでの所要時間が延長されてしまいます。
現住所における切り替え(スイッチングエラー)の主な原因は下記の2つです。
- 契約情報の不整合
- 供給地点特定番号の間違い(桁が違う、数字が違う)
- お客さま番号の間違い(無関係の番号を入力している)
- 住所と供給地点特定番号の不整合
- 引っ越し前の住所を入力している
- 引っ越し前の供給地点特定番号を入力している
- (集合住宅で)部屋番号や建物番号の入力がない
上記のようなミスを防ぐために注意すべきポイントは3つだけです。
・引っ越しと同時契約の場合、必ず新居の住所を入力すること
・画像撮影時は「鮮明に、全体を写す」こと
「せっかく申し込んだのに3ヵ月~も待たされてしまった、キャンセルになってしまった」ということにならないよう、申し込み前に手元の情報が最新かよく確認してみてくださいね。